転職時に知っておきたい健康保険についての基礎知識

転職をする際には、さまざまな事務手続きが必要になります。

会社に勤めている間は会社を通じて健康保険に加入しているため、医療機関で保険診療を受けた場合には窓口での医療費負担は3割分だけとなります。

しかし、退職した後は会社で加入していた健康保険の被保険者資格を失うこととなります。

では、退職後に病院に通いたい場合には健康保険を利用することはできないのでしょうか。

今回は、転職をした場合の健康保険証の取り扱いの仕方や離職期間中に加入できる健康保険についてご紹介します。

目次

退職時の健康保険証の取り扱い

勤務中は会社を通じて健康保険に加入しているため、退職と同時に会社から加入している健康保険からは脱退することとなります。

そのため健康保険証は、自身のものはもちろん、扶養している家族の分も合わせて退職後には速やかに会社へ返却することが求められています。

しかし、健康保険の被保険者資格を喪失するのは退職日であり、最終出社日ではありません。

そのため、最終出社日を終えても退職日を迎えるまでは、そのまま健康保険証を利用して通院することができます。

転職時期や離職期間によって変わる健康保険の加入手続き

退職後の健康保険は、転職の時期や離職期間によって加入の手続きが変わってきます。

すでに転職が決まっている場合と退職後の離職期間が長くなる場合の健康保険の加入手続きの仕方についてご説明します。

転職先が決まっている場合の健康保険

すでに転職先が決定しており、退職から転職先への入社までの間が空かない場合には、転職先に必要書類を提出することで転職先が健康保険の資格取得手続きを行ってくれます。

会社が手続きを行ってから1~3週間程度で新しい健康保険証が手元に届くようになります。

新しい健康保険証が届くまでの間に医療機関を受診したい場合には、一時的に医療費の全額を建て替えて支払っておき、健康保険証が届いた後で返金の手続きをすることができます。

また、会社によっては健康保険証が届くまでの間、健康保険証の代わりとして使用することができる「健康保険被保険者資格証明書」を発行してもらえる場合があるため、転職後すぐに病院に行く予定がある場合には、転職先に事前に相談しておくとよいでしょう。

退職後の離職期間が長くなる場合の健康保険

退職後、離職期間が空く場合には任意継続健康保険、国民健康保険、家族が勤務する会社の健康保険のいずれかに加入しなければなりません。

それぞれの保険の概要とメリットおよびデメリットについてご紹介します。

・任意継続健康保険に加入する

任意継続健康保険とは、これまで加入していた健康保険に退職後も引き続き加入できる制度です。

任意継続ができる期間は最大で2年間と決められています。

<メリット>

任意継続健康保険の保険料は固定されており、加入期間中に変わることはありません。

また、保険料の上限が設定されているため高額な収入を得ていた人の場合には、保険料が安くなる場合があります。

扶養の仕組みがあるため、扶養家族がいる場合にも1人分の保険料で家族全員が健康保険に加入することができます。

<デメリット>

在職中は保険料の半分を会社が負担していましたが、任意継続期間中は会社の補助がなくなるため保険料の全額を負担することとなります。

扶養家族がいない場合などには、保険料が割高となることがあります。

また、新たな会社で被保険者となる場合を除いて、2年の間は自己都合で脱退することはできません。

・国民健康保険に加入する

任意継続保険を希望しない場合には、各市区町村が運営する国民健康保険に加入することができます。

<メリット>

任意継続保険のように加入期間は定められていないため、家族の扶養に入る場合など、必要に応じて脱退することができます。

<デメリット>

保険料には上限がなく、給与所得以外の課税対象所得も合わせた合計所得額を元に保険料が算出されるため、高収入の人や給与以外の所得がある人の場合は保険料が割高になる場合があります。

また、扶養の仕組みがないため、前職では扶養家族として認められていた家族の分も保険料が必要となります。

・家族が勤める会社の健康保険の扶養に入る

3等親以内の家族が勤める会社が健康保険に加入している場合は、年間収入が130万円未満等の条件を満たしていれば健康保険の扶養に入ることができます。

<メリット>

保険料を支払うことなく、健康保険に加入することができます。

<デメリット>

年間収入に制限があるため、収入を多く得る場合には扶養を外れて自分で健康保険に加入し直す必要があります。

まとめ

転職する際に、覚えておきたい健康保険の基礎知識をご紹介しました。

退職時には、速やかに健康保険証を返却する必要があります。

また、転職先が決まっていない場合には前職の健康保険に継続する任意継続健康保険、国民健康保険、家族が勤める会社の健康保険の扶養、いずれかに加入する必要があります。

それぞれにメリット、デメリットがあるため、転職のタイミング等も合わせて加入すべき健康保険を選ぶようにしましょう。

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