適応障害による退職の予防・解決策とは

適応障害とは

適応障害という病気をご存知でしょうか?適応障害は、人口の1パーセント程度と言われていますので、まだまだ身近に感じていない方も多いと思います。しかし、この適応障害という病気は、実際には1パーセントよりも多い割合ではないかと言われています。その為、1パーセントだからと言って楽観視することは危険です。

適応障害は、普通の生活を送ることが難しくなってしまうような症状が現れる病気です。うつ病に類似しているところも多いので、うつ病だと勘違いされやすくなっています。また、適応障害の患者さんが重度のうつ病を発症するケースも多くなっていますので、混同しやすいといった特徴があります。

適応障害の症状は人によって異なるのですが、多くの方が発症している症状は、何も原因が無いのに憂うつな気分になって落ち込んでしまったり、常に不安感に苛まれていたり、尋常じゃないほどで神経質になるような症状が現れます。また、とにかく気が急いてしまいやすいといった症状が出ることもあり、精神が常に休まらない状況になっていります。

他にも何にもないのに涙が止まらなくなってしまったり、感情が抑えられずに大声で叫んだりわめいたりしてしまうような症状が現れるようになります。日常生活を送ることが困難になりますので、当然ながら学校へ通う事ができなくなってしまったり、会社に行けなくなってしまい退職するしかなくなるような症状が現れます。不登校であったり、職場不適応などの方の中には、少なからず適応障害の症状が発症している方が見られます。

適応障害の定義

適応障害と診断される時には、お医者さんの直感だけではなく、適応障害だと診断する基準があります。人によって現れる症状は異なりますが、この診断基準に該当している方は、適応障害だということになります。

例えばストレスに対する反応が、通常の人の反応よりも過剰な反応になってしまったり、働いたり、学校に通う事ができないような障害が生じるような場合には、適応障害だと診断されます。

他にも、はっきりと原因のわかっている心理社会的なストレスに対して三ヶ月以内に症状が発症した場合や、発症した原因となるストレスが解消されてから半年以内に症状が緩和されたり、症状が無くなるような場合には、適応障害だと思って間違いありません。こういった症状が、他の原因となるであろう精神障害などが無い場合には、さらに適応障害である可能性がアップします。

適応障害は、うつ病の症状と類似しています。また、適応障害とうつ病を同時に発症しているようなケースもありますので、素人判断で放置してしまったり、誤った治療方法を行うと、余計に症状を悪化させてしまいます。会社や学校に行けなくなるくらい症状が悪化してしまう前に、少しでも早く専門家のいる病院に足を運び、指示を受けるようにしましょう。

適応障害の原因

適応障害の原因はストレスです。原因となるストレスは人によって異なりますし、種類も多岐に渡りますので、原因を究明することがとても難しいということもあり、発症しても原因を取り除くことが遅れてしまいがちです。

適応障害の原因となるストレスは、仕事関係、家庭環境、恋愛、病気、学校、友達、進路、将来への不安など様々です。特に多い適応障害の原因は、やはり会社関係です。上司の方とソリが合わなかったり、部署移動や転職、転勤などによって起こる環境の変化、ブラック企業など仕事量の多さ、自分のキャパシティー以上の責任の重い仕事を任されるなどが挙げられます。

学校関係で適応障害が発症するような場合には、受験の失敗や受験勉強のストレス、失恋、いじめ、転校やクラス替えによる環境の変化などが挙げられます。不登校などになってしまう方の中には、この適応障害を発症してしまい、学校に行きたくてもいけない方もいます。

最近増えているのが、家庭環境です。嫁姑問題によるストレスであったり、子供の成長を不安に思ってしまうこと、ママ友との関係、子供のお受験のストレス、妊娠後の環境の変化、出産後の体調の不調、パートナーの浮気などとにかくストレスが過度にかかると発症しやすくなります。

適応障害の治療方法

適応障害を効果的に治療するためには、カウンセリングと薬物治療の双方からアプローチすることが重要になります。カウンセリングは、心理士によって行われます。例えば適応障害が発症した原因が出産であったり、会社などのような場合には、ストレスの原因から逃れることができません。そういった場合には、カウンセリングを行い、ストレスに対しての適応力を高める必要があります。環境の変化に適応する方法であったり、根本的なものの考え方などを心理士からアドバイスを受け行動する認知行動療法が一般的な治療になります。

薬物治療では、症状に合わせて適切な薬物を服用します。適応障害には、色々な症状があります。気分の落ち込みが激しいような場合には抗うつ薬を服用しますし、不安感が強かったり、焦燥感が強いような場合には抗不安薬を服用します。イライラしやすくなってしまっているような場合には、気分安定薬を服用しますし、夜に眠る時間が短くなってしまったり、夜中に何度も起きてしまうような場合には、睡眠導入薬などを服用します。これらの薬剤は、適応障害の原因を消すことはできませんが、症状を緩和することができます。緩和することによって、本人の考え方や体調を適応障害に対抗できるように強くするのです。

適応障害の予防方法

適応障害は誰にでもなる可能性のある病気です。その為、事前に適応障害の事を調べておき、しっかりと理解するということが、最も効果的な適応障害の予防方法になります。適応障害の事を知っておけば、身体が不調になってしまった時に、もしかしたら適応障害になりかけかもと、症状が悪化する前に病院に行くことができます。適応障害のような精神系の病気は、対処が遅れれば遅れるほど、どうしても症状が悪化してしまい、完治が難しくなりますので、事前に適応障害についての理解を深めることが重要になってくるのです。

また、適応障害にならないように、ストレスに対して耐性を付けておくことも重要になります。例えばしっかりと睡眠時間を確保したり、栄養バランスの整った食生活をおくったり、適度な運動を定期的に続けるなど健康的な生活を送ることは、ストレスが溜まりにくい体を構成することができますし、たとえストレスを受けたとしても、すぐに溜め込まずに発散することができます。

もちろんストレスの原因が分かったら、その原因から物理的に距離を置くことが重要になりますが、ストレスの原因が会社や育児、学校などの場合には、中々ストレスの原因から離れることが難しいと思いますので、ストレス耐性を付けたり、ストレスが溜まる前に解消できる環境を整えるようにしましょう。

適応障害で退職

適応障害は、ストレスが原因で発症する病気です。その為、会社での仕事の内容や人間関係などが原因で適応障害を発症してしまった場合には、非常に大変な思いをします。そのまま会社で働き続けてしまい、症状に改善が見られないならまだしも、悪化の一途をたどってしまうような場合には、適応障害ではなく重度のうつ病を発症しかねません。重度のうつ病を発症してしまうと、社会復帰できなくなるリスクがありますので、適応障害の状況を正確に判断し、退職しなければいけない時には、退職するという選択をしなければいけません。

しかし、適応障害であっても退職せずに仕事を続けている方も大勢います。そういう方は、自分が適応障害であることを自覚し、無理をしないように働いています。仕事をバリバリとするよりも、規則正しい生活に重点を置き、早寝早起きを徹底したり、会社帰りにスポーツジムに通って汗を流すなど、健康面に気を使って生活することによって、適応障害の症状の悪化を防いでいます。また、きちんと病院に通い、自分の症状にあったお薬を出してもらったり、ストレスを一人で溜め込まないように、積極的に他の人とコミュニケーションをとるなど、適応障害という病気の症状に合わせた行動することによって、適応障害であっても働き続けることができるようになるのです。

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