上司のパワハラで退職したい。円満な方法とは?

目次
パワハラで退職?
パワハラとは、パワーハラスメントの略称です。元になるpower harassmentという言葉は、海外にはない日本独自の和製英語になります。一般的なパワーハラスメントは、社会的な立場の上の人が、その立場の有利さを武器に、立場の下の人に嫌がらせをしたり、威圧的な態度を取ったりすることを指す言葉になります。しかし、現在のパワーハラスメントは、上司から部下へのいじめであったり、家庭内で社会人の方が専業主婦(専業主夫)を相手に威圧的な態度や発言をするようなことを指す言葉に変化しております。
パワーハラスメントの定義は、会社内で職権などを利用して、本来の指導内容ではなく、行き過ぎた指導などによって、継続的に立場が下の人の尊厳を傷つけたり、人格を否定することによって、精神的にストレスを与える行為の全般をパワーハラスメントと定義しております。その為、パワーハラスメントは、その時々で異なってきますし、その人によって変わってきます。上司の方は、普通に部下に接しているつもりであったのに、部下の方にしてみれば、ひどいパワーハラスメントを受けていると感じるようなケースもあり、退職まで発展してしまうなど大きな問題となっているのです。
パワハラの難しさ
パワーハラスメントは、細分化しておりますので、一言にパワーハラスメントといっても、全てが同じパワーハラスメントとは限りません。その為、会社内で問題が起こった時には、状況に合わせてパワーハラスメントかどうかを判別していかなければいけないのです。2020年現在において、パワーハラスメントだと言われているのは、「身体的な攻撃」、「精神的な攻撃」、「人間関係からの切り離し」、「過大な要求」、「過小な要求」、「個の侵害」の6つになります。
また、パワーハラスメントが難しいところは、一度でしたら問題のない行為であっても複数回行うとパワーハラスメントに認定されたりもします。また、同期同士でしたら問題のない行為であっても上司と部下の関係になると、パワーハラスメントに認定されることもあります。最近では、部下の立場から上司に対してパワーハラスメントを行う事例も増えて来ており、逆パワハラなどと言われるようです。
パワーハラスメントを理解する上で重要な事は、自分に置き換えて相手の事を考えても意味がないということです。その為、部下のいる方が、パワーハラスメントで問題を起こさないようにするためには、とにかく慎重に距離感を保って指導をする必要があるのです。
6つのパワハラ
パワハラの主な種類は、「身体的な攻撃」、「精神的な攻撃」、「人間関係からの切り離し」、「過大な要求」、「過小な要求」、「個の侵害」の6つになります。身体的な攻撃は、暴力の事です。突き飛ばしたり、頭を叩いたり、殴ったりなどが含まれます。ボールペンを投げつけたり、書類の束で頭を叩いたりするのも含まれます。精神的な攻撃は、馬鹿にしたり嘲笑したりする行為や、大勢の人の前で叱責したり、皮肉を言うなどが含まれます。長時間にわたり叱責するのも対象になりますし、必要以上に大きな声で怒鳴ったりするのも精神的な攻撃に含まれます。
人間関係からの切り離しは、無視をしたり歓送迎会などに呼ばないなどの事です。過大な要求は、無理な仕事量を押し付けたり、あまり必要がないのに休日出勤や残業を強いることなどが含まれます。過小な要求は、仕事を与えなかったり、その方が持っている能力や経験とはかけ離れた業務を行わせることです。
個の侵害は、勝手にスマートフォンを見たり、カバンの中を開けたり、手帳を読んだりすることや、オフの日や会社の行き帰りの時間、昼食などの時間に急ぎではない電話やメールをすることです。飲み会の後に家まで車を出してもらったり、会社のキャンプに家まで迎えに来させるなどもパワーハラスメントに当たる可能性があるのです。
パワハラされやすい人
世の中には、パワーハラスメントされる人とされない人とがいます。日本には、パワハラ被害に悩んでいる方が大勢いるのですが、その多くが非常にまじめな性格をしています。まじめな性格をしている方は、上司から嫌な事をされても、会社の雰囲気を悪くしないためにグッとこらえてしまう傾向があります。反抗してこない部下は、パワーハラスメントのターゲットになりやすいということもありますので、まじめであればあるほどパワハラの被害に遭いやすくなってしまいます。
また、おどおどしていたり、コミュニケーションをあまりとらないという方も被害に遭いやすくなっております。周りに味方が少ないような方は、総じてパワハラのターゲットになりやすいということです。こういった方の場合には、反撃されないという安心感から徐々にパワーハラスメントが強くなっていく傾向があります。この他にも、自分のパワハラを正当化するために、仕事ができない人や仕事が遅い人、マイペースな人などがターゲットになります。
これらとは少し異なるのが、優秀であったり、ルックスなどが整っているような方は、嫉妬からパワーハラスメントのターゲットになりやすいということもありますので、誰がいつパワーハラスメントの被害に遭うかわからない状況になっているのです。
パワハラの被害
パワーハラスメントの内容は人それぞれですが、とても重要な事は、一度被害に遭ってしまった方は、その後の社会復帰が難しくなってしまうということです。嫌ならやめればいいと思える方は、基本的にはパワーハラスメントの被害に遭いません。上司がパワーハラスメントをしてきたとしても、しっかりとした口調で否定することができますし、パワーハラスメントをしている上司の方の立場が悪くなるような対応をすることができるのです。
パワーハラスメントに合ってしまう方は、上司のパワーハラスメントから逃げることができません。その為、体調を崩してしまったり、髪の毛がストレスで抜けてしまい円形脱毛症になってしまったり、ストレスにより体重が著しく増減したりします。中にはうつ病になってしまい、会社を辞めた後、療養していても社会復帰まで数年かかってしまうことも珍しくないのです。パワーハラスメントは、退職した後も続きます。夜に寝ているとパワーハラスメント当時の夢をみて起きてしまったり、街中でパワーハラスメントをしていた上司に似ている人を見かけるだけで動悸や息切れを起こすこともあります。ひどい時には過度のストレスによって自殺に追い込まれるケースもあります。
パワハラにあったら
もしあなたがパワハラの被害にあってしまったのなら、自分だけで考えずに、客観的に物事を考えてくれる方に相談するようにしましょう。できれば家族や友達、会社の同僚などではなく、もっとフラットに見解を伝えてくれる方の方が正しい方向に物事を進めてくれると思います。パワハラの被害などは年々増加してきておりますので、自治体の窓口で相談することができたり、各都道府県にある労働局などでも相談することができます。もちろん弁護士の方に相談するといった方法もありますので、自分一人で悩まずに必ず相談するようにしましょう。
またパワーハラスメントによって退職を検討しているという場合には、ボイスレコーダーなどで上司のパワーハラスメントの内容を録音したり、日記などにその日にあったパワーハラスメントの内容をまとめておくのもおすすめです。パワーハラスメントは、言った言わないの水掛け論になってしまうことも多く、責任を最後までしっかりと追及することが難しいようなケースもあります。
相手に責任を取ってもらうことは、相手に対する嫌がらせではなく、自分の心を守ることにも繋がります。もし、パワーハラスメントをする上司の元で働けないというのなら、弁護士から話を通してもらい、態度を軟化させてもらうか、上司を他の部署や退職してもらうかなどしかありません。そんな時に記録してきた証拠が役に立つのです。